Our Topics空間演出の規制と効果 ―通勤・通学路で商品をアピールする―

圧倒的なジャック感で商品の世界観を表現

清涼菓子『MINTIA(ミンティア)』を販売するアサヒフードアンドヘルスケアは、新フレーバーである「コールド・スマッシュ」の発売を記念して、新宿駅・品川駅構内をポスターでジャックしながらサンプリングを行うプロモーションを実施した。
約1ヶ月をかけて全国をまわるサンプリングキャンペーン中、東京で開催された4日間はスペシャルデーと称され、駅構内をインパクトあるブルーとホワイトのビジュアルでジャックした。さらに音楽にあわせて商品サンプルを配布するミンティアガールズが音楽にあわせてダンスをするというイベントも行われたのである。
今回はジャック感のある意匠と、さらに「ミンティアガールズ」というイベントコンパニオン且つプローモーションアイコンの存在も加わり、駅の一画で商品の世界観が巧く表現されていた事例であったと言えよう。
ビジュアルによっては圧倒的なジャック感が出る駅構内。一方で、広告物は利用客の迷惑にならないよう、不快感を与えないように展開するのが重要なため、こうした展開はまさにその趣旨と規制の間での調整が最重要とされる。その点を調和すれば、利用客に対して、他メディアとは違った空間演出という形で商品を印象付けることができるはずである。

通勤客に応援メッセージを伝えるゲートウェイ広告

JRの山手線改札に現れたアサヒ飲料「十六茶」の自動改札ステッカー。そのステッカーとともに、改札口付近には丸い筒状の『ゲートウェイ広告』なるものが置かれていた。イメージキャラクターである新垣結衣のパネルに「グッドモーニング」というメッセージがかかげられたこの媒体は、駅から利用客への言葉を伝えるものとして各駅出口付近に設置されていたのである。時間帯によっては乗客の迷惑にならない程度の音声も出るような仕組みも設定されていた。
このような広告は過去にも何度か実施されている。例えば、NTTドコモは自社のオリジナルキャラクターであるドコモダケを使って07年4月、新生活を迎える人々に向けて「がんばって、新社会人!」という応援メッセージを送った。
一見普通のパネル広告が出口付近に置かれているかとも思えるこのゲートウェイ広告。特殊媒体という位置づけで掲出するまでに様々な申請をクリアしなければならないという難しい一面も持っているようだが、駅から利用客へのさりげないメッセージとして見てみれば、毎日の通勤でもほんの少し暖かい気持ちになるのではないだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2009年5月号からの転載です。