Our Topics新宿駅に巨大OOHメディアが誕生大きさを生かした広告表現に募る期待

高さ1.8m、左右35mの巨大媒体
JR東日本最大級の大きさで登場

2020年7月19日、JR新宿駅に東西自由通路が開通した。これまであった改札内の北通路を、約17mから約25mに拡幅し、改札外とすることで西口と東口の間を自由に移動できるようにしたものだ。長さは100メートルあり明るく広い印象を受ける。
この壁面に、高さ1.8m、左右35mの巨大媒体「新宿東西自由通路スーパーパノラマ」が誕生し、同日から広告運用が開始された。仮囲い上での掲出で期間限定だが、JR東日本最大級の大きさを誇る。
コンピューターゲーム会社のYostarは、スマートフォンアプリ「アークナイツ」が国内リリースから半年を迎えたことを記念して、この媒体での広告出稿を20日から2 週間にわたり実施した。ゲームコンテンツ内のメインストーリーの各章をフィーチャーした構成で、西口から東口へ歩くことで、序章「暗黒時代・上」から第六章「局部壊死」までをまるでストーリーを辿るように見て回れるようにしていた。媒体の長さをうまく使った表現だ。また、東西自由通路がニュースとして多くのメディアで報道されていることもあり、広告面も映り込むことが多い。情報感度の高いゲームファンであれば気づくに違いないという意味でもタイミングの良い展開だった。
この広告媒体の強みは大きさだけにとどまらない。東西自由通路の利用者数の増加もまた強みと言える。
これまで、新宿駅では改札外で西口と東口を行き来するのに、北側の東京メトロ丸ノ内線新宿駅の通路を回るか、南側の甲州街道を回るかだった。しかし、東西自由通路の開通により利便性が増すので、利用者が増える可能性がある。さらに、西口にある小田急や京王の改札と、JR 中央東口改札間はJR改札内を通って行き来することができたが、現在は出来なくなったので、その利用者の分も流動が増える可能性がある。
以前の北通路の媒体も人気があったが、コロナ禍で減少していた来街者が戻れば、媒体価値はそれ以上となるかもしれない。

新宿駅最大級のデジタルサイネージ
大きさを生かした広告表現が目立つ

一方、京王新宿駅の改札内上部2カ所には、LED仕様のデジタルサイネージ「新宿K-DGキングウォール」が登場した。高さ約1.4m、横幅約15mで新宿駅にあるサイネージでは最大級の大きさを誇る。東西自由通路が開通した翌週の27日からは、朝日放送テレビ制作の番組「これって私だけ?」(テレビ朝日系全国ネット)の広告が2週間放映されていた。司会の沢村一樹さんや、レギュラー出演の飯尾和樹さんとミルクボーイのふたりの目元だけの映像が挿入されており、それが非常に印象的で、横長の画面を生かすうまい表現となっていた。
駅周辺再開発では渋谷と比べてやや遅れたイメージもあった新宿だが、東口駅前広場の整備や西口の小田急と東京メトロが計画する大規模再開発など、今後に向けた動きが進みつつある。今回の東西自由通路開通は駅の利便性を向上させるだけにとどまらず、これから始まる新宿の大変化の第一歩となるものだ。
2018年には一日の利用者が359万人
(各電鉄合計)と世界一の駅(Busiest station)としてギネス世界記録にも認定された新宿駅。そんな新宿駅のOOHメディアに改めて注目してはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2020年10月号からの転載です。