Our Topicsリアルに趣向を凝らしたアニメコンテンツのOOH広告

Netflixがラインアップの充実をアピール、目元だけのアニメポスター

2018年2月26日から1週間、Netflixは「Netflix アニ“目”ジャック@新宿」とするOOH広告を実施した。東京メトロ新宿駅の大型ボードには280ものアニメキャラクターが掲載されていたが、驚くことにどれもが目元だけだった。作品タイトルの表示もなかったが、現場では友達同士でお気に入りのキャラクターを探し「ザクこれだ!」などと言い合う姿が見られた。コアなファンには目元だけでどのキャラクターかわかるようだ。
宣伝担当者によると、日本中のアニメファンに「Netflixはアニメが充実している」ことを認識してもらうにはインパクトがあり、SNSで話題になるような広告が必要と考えた。それを実現するためにはリアルなOOH広告で訴求することが最適だと判断し実施したとのことだ。思い切った手法だったが、かえってアニメファンの心に火を付けたようで狙い通りの展開となった。斬新で優れた着眼点と言えるだろう。
OOH広告と連動し、「#Netflixアニ目」でSNSに投稿すると、キャラクターの目元が印刷されたステッカーがもらえる「シールガチャ」も実施したが、連日終了前に配布数に到達し7日間で参加者は3500人に上った。投稿者は5000人以上、ネット中心にメディアの露出も300以上を数える。多くのアニメパートナー企業の理解と許諾を得るのに時間を要したようだが、「いいアニメは、いい目をしている。だから、心に残るアニメは、目を見ただけで作品の記憶が蘇る」と自身もアニメファンである担当者は、強いアニメ愛で乗り切ったようだ。

壁と床と音を総動員して、アニメ作品で、駅を空間ジャック

4月2日からは、東宝が「ウルトラ・ヒロアカ・ウォール」とした大規模なOOH展開を行った。JR新宿駅北通路にある高さ約2.4m、左右長さ38mの巨大壁面ボードには現在TV放送中の人気アニメ作品で、8月にオリジナル劇場版も公開される「僕のヒーローアカデミア」のビジュアルが描かれていた。
宣伝担当者は作品としてのスケールの大きさとキャラクターの強さをアピールするため、打ち出し方として大型の広告が効果的だろうと企画したそうだが、驚いたのは、通路の床面も使っていた点だ。特に人気キャラクターの3人が壁面から床面へ一体感を持って描かれていた様子はインパクトがあり、躍動感も感じられた。
さらには、テレビアニメで使われるキャラクターの声や楽曲をその場で聴かせており、「ヒロアカ」の世界観で駅を空間ジャックしたと言える内容だった。結果として、多くの人が立ち止まりスマホで撮影しSNSで発信。公式サイトのアクセス数は新規のユーザーも増え前週比約2倍、twitterのフォロワー数も広告期間で5000人増えたとのことだ。
初日には缶バッジをモザイクアートとして貼付し、自由に剥がせて持ち帰れるピールオフも実施したが、午前9時の段階で無くなるほどの盛況ぶり。担当者は幅広く多くの人々に印象付けられたと手応えを感じている。

深く趣向を凝らしたアニメコンテンツは、ファンの情報拡散力が追い風に

このように、リアルに前例が無いほど趣向を凝らしたアニメコンテンツのOOH広告は、ファンのインサイトを突くことで情報拡散もより大きくなったと言えるはずだ。参考にしてみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2018年6月号からの転載です。