Our Topicsデジタルテクノロジーを使った体験型OOH広告

照明写真機型のコンテンツで未来の職業を診断

2018年1月29日から1週間、ミクシィ・リクルートメントは、IT・Web業界に特化した転職・求人情報サイト「Find Job!」の体験型OOH広告を丸ノ内線新宿駅で実施した。証明写真機型の「未来変身ボックス」を設置。案内に従って質問に答えると、IT・Web業界の職業から相性がいいジャンルを診断。さらにアニメ姿に変身する自分の未来動画が作成され、その場の大型サイネージに放映された。その後、それらが掲載された「未来履歴書」がもらえQRコードからスマホで自分の動画を見ることができた。SNSへのシェアも可能でシェアした人にはオリジナルパッケージのキットカットがプレゼントされるなど情報拡散も狙った展開だった。この広告にはマイクロソフトのモーションセンサー「Kinect」や顔などを認識するAI技術「Cognitive Services」、3Dアニメが制作可能なゲームエンジン「Unity」などのデジタルテクノロジーが使われたようだが、IT・Web業界に合った試みと言えるだろう。
Find Job!では、20 代~30代の若いユーザーが多く、自社データによると、アニメやサブカルチャーに造詣が深い人と、サイト利用者のITエンジニアやデザイナーとは親和性が高いということがあり、アニメを使ったということだ。コスプレをした声優やコンパニオンも登場し会場を盛り上げていた。
診断される職業ジャンルのネーミングも「オンライン学習の革命家」、「ゲームの闘士」、「ムービーの創造主」、「C2Cの伝道師」、「フィンテックの錬金術師」などと、輝ける未来を感じさせる上手い表現にしている。なお、Webサイト上の求人企業名がそれぞれに掲載されていた点は、単なるゲームで終わらない試みだ。
現場では、「おもしろい」「楽しい」などの声が聞かれ順番待ちをする姿も見られた。中には、「ムービーの創造主と診断されたのですが、実は映像関係の仕事をしているのです」と診断結果通りだったことを楽しそうに話す者もいた。広告主は仕事帰りに気軽に楽しく輝ける未来の職業診断をして、現在の仕事や将来について考えるきっかけにして欲しいと考えたようだが、狙い通りだったに違いない。

AR技術で喰種になる体感広告

同様な試みは同じ場所で2017年7月24日から映画「東京喰種 トーキョーグール」のプロモーションでも行われている。映画の世界で人を喰らう怪人「喰種(グール)」の体感広告だった。喰種判別装置としたゲートを通ると喰種と判明。すると取り調べ室のサイネージには喰種の特徴である赤目と赫子(かぐね)と呼ばれる特殊な器官が自分の映像にAR技術で合成されるというものだった。「喰種取締記録」が渡され、QRコードからその動画の視聴や、SNSへ拡散も可能な点はFind Job!と同様だ。大型サイネージに次々に喰種になった人たちが放映され、多くの人が見ていた。ネット上では、「案内係の人がみんな喰種捜査官になりきってて面白かった(笑)」「私は今日SSレートの羽赫喰種と判明したので浮かれてこの後めっちゃ飲みました」など楽しんだコメントが多く見られた。
このように、デジタルテクノロジーを使いそれぞれの世界観に合った体験型OOH広告は、その場の認知理解だけでなく、話題喚起や情報拡散も促すものだ。参考にしてみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2018年4月号からの転載です。