Our Topicsスシローが日本に笑顔をもたらすメッセージを発信STAY HOMEの象徴の場をOOH 広告が占拠

広告ドミナント戦略が成功
スシローのOOHが渋谷をジャック

スシローグローバルホールディングスは、5月16日から渋谷スクランブル交差点や品川自由通路などSTAY HOMEの象徴として報道されていた場所で、「すしで、笑おう」のメッセージ広告を発信した。渋谷では、スクランブル交差点周辺の大型ビジョン5面をつなげ、巨大な回転すしのレーンが回っているかのような表現をした。動画はテレビCMでおなじみの「スシロー!スシロー!」という掛け声から始まり、中盤では注文商品の到着音を盛り込み、活用することで、潜在的に刷り込まれている「スシロートリガー」を刺激し、メッセージへの気づき率をあげる工夫も施したとのこと。間近で広告面を見ると「渋谷スクランブル交差点」を「スシロー渋谷スクランブル交差店」と表記しており、ユーモアを忘れない演出を魅せた。
圧巻だったのは、地下の東急渋谷駅にある「ビックサイネージプレミアム」だ。直径約2mの巨大な皿が25mに渡って動くシーンが映し出される。回転すしの皿が微妙に回転する描写があるなど、リアリティが感じられる演出で、同じ方向に歩くと、皿と並進しているような感覚となり非常に印象的な体験だった。歌舞伎役者の坂東彦三郎さんの派手なビジュアルの後、定式幕が流れてきて映像が終了するなど、視認環境を上手く活かした表現だ。横長の巨大サイネージが増える中、どう表現するか悩む宣伝担当者も少なくないが、非常に参考になるクリエイティブだろう。SNSにアップされた同動画の総再生回数は110万回を超え、情報が拡散され話題のOOH広告となった。同社はその他、多くの媒体でこの広告出稿を実施しており、渋谷の至る所で接触ができた。渋谷のOOHで店舗ではなく、言わば広告のドミナント戦略が成功した事例とい交差点周辺「ビッグサと並進してえよう。

過去の施策をバネにする
共感を呼ぶメッセージ広告のつくり方

広告主のスシローは「昨年、『山手線巨大回転すし』などのOOH広告を実施した結果、多方面から人が集まるエリアであればその場に店舗がなくても周辺エリアにいい影響を及ぼすことや、インナーモチベーションにも寄与することが実証された」との見解を述べている。さらに同社は「それらの実績を踏まえ、この状況下でできることは何か、使命は何かを考え、少しでも世の中が元気になれるよう『すしで、笑おう』というメッセージを発信した」とコメントしている。
また「回転すしのリーディングカンパニーであり、日本の伝統食を担う企業としての使命を果たし、日本全体を少しでも元気にするための戦略を優先した結果、今回の渋谷でのOOH展開に至った。メッセージの本気度を伝え『企業としての行動』にしたかった」と施策に対する思いも語っている。
今回の試みに対して数多くのメディアからも問い合わせがあり、SNSでも反響があったようだ。「凄いやスシローこの規模の渋谷ジャック」、「渋谷面白いことになってた」、「メッセージムービーを見て共感し、泣けてきた」、「元気が湧いてきた」などといった投稿・コメントも寄せられ、多くの人々に共感されたようだ。参考にしてみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2020年8月号からの転載です。