Our Topics「100年に一度」と言われる再開発で、媒体価値の上がった渋谷駅周辺エリア

渋谷の新たなランドマーク
ユニークな巨大媒体が登場

11月1日、渋谷一の高さを誇る高層ビルの大規模複合施設「渋谷スクランブルスクエア」が開業した。100年に一度と言われる再開発で、新たに生まれ変わった渋谷駅直結・直上の新ランドマークだ。
筆者が注目したのはビルの壁面2カ所に設置されたユニークな形をした大型ビジョン「渋谷スクランブルスクエアビジョン」だ。面積は渋谷ヒカリエ側が約156㎡、宮下公園側が約623㎡で、最大部は縦約25m、左右約40mにもなる巨大なものだ。
実はこのサイズは、東京都の屋外広告物条例や景観形成指針などの規制を大幅に超えている。しかし、まちの個性を生かした景観形成や、昼夜問わずしての魅力の演出のため、2年以上前から関係者が協議し、指針を改訂。実証実験を経て、実装が認められた画期的なOOHメディアだ。広告収益は、渋谷駅周辺のにぎわいづくりや交流の創出、清掃活動など渋谷のまちづくりのために還元されるとのことだ。
約1ヶ月が経った時点で、「バイトル」「バイトルNEXT」「はたらこねっと」(いずれもディップが運営する求人サイト)などの広告を毎週流しているほか、テナントでもあるシャネル、ティファニー、ブルガリなどのラグジュアリーブランドの広告が目についた。
渋谷駅前で特別な許可を得て媒体化されたものは、ハチ公広場の中心に設置されている縦2.9m ×横13.17mの大型ボード「渋谷憲章シート広告」も該当し、人気媒体となっている。
ユニークなのは、同駅前の広告デザインには地域ルールがあることだ。その大枠は「+FUN」「遊び心で渋谷を動かせ」を考慮し、『渋谷らしさ』を兼ね備えたデザインとすること」だという。

渋谷が「ONE TEAM」に?
好敵手の開業に”お祝い”メッセージ

渋谷周辺では、その後も11月22日に新生「渋谷PARCO」が、12月5日には「渋谷フクラス」(新生東急プラザ渋谷)が次々とグランドオープンしている。
驚いたのは、競合であるはずの丸井が同社の「渋谷モディ(MODI)」の大型ビジョンに「開業おめでとうございます!」とそれぞれの開業に対し「お祝い」メッセージ画像を放映していたのである。
丸井の担当者によると、「新宿や銀座などとの地域間競争に渋谷が勝っていかなければならない。むしろ渋谷を一緒に盛り上げていく仲間だ」との考えから、放映したという。この「お祝い」に応える動きもあり、まるで渋谷の商業施設同士が「ONE TEAM」になったかのような印象を受けた。

このように、新しい商業施設ができるということは、新たな広告メディアができるということである。延いては、地域全体の魅力が増し、OOHメディアの価値向上にもつながるだろう。これまでは”若者のまち”のイメージが強かった渋谷だが、今回新たに商業施設がオープンしたことで、訪れる人の層は増え、広告の訴求対象も広がりそうだ。渋谷のOOHへの広告展開、検討してみてはいかがだろうか。

※このコラムは「宣伝会議」2020年2月号からの転載です。