1. Home
  2. トピックス
  3. 広告会社としての危機感と責任が、新たな市場をつくっていく

2025.12.05

広告会社としての危機感と責任が、新たな市場をつくっていく

オリコムでは、2024年4月からGX(グリーントランスフォーメーション)事業を立ち上げました。GXとは、企業の経済成長と、再生可能エネルギーの普及による持続可能な社会の実現を両立させながら、新たな産業や雇用を生み出していく取り組みです。広告業界においても、CO₂削減量が様々な場面で企業や商品選定の指標として定着しつつあり、今後大きなゲームチェンジの可能性を秘めています。GXをどのように事業化し社会に広めていくのか。今まさに挑戦している3人のメンバーが語り合いました。

水科 宗作(みずしな しゅうさく)

  • 所属:
    GXビジネス開発局 局長
  • 社歴:
    2013年8月中途入社
    前職からデジタルに長く携わり、その知見を活かす形でGX事業とデジタルを融合したサステナブルマーケティング推進の中心的存在。

進藤 将史(しんどう まさし)

  • 所属:
    GXビジネス開発局 ディレクター
  • 社歴:
    2021年6月中途入社
    前職は、webメディアでデジタル広告の商品開発や運用を担当。当社とデータビジネスの分野で協業したことをきっかけに親交が深く入社に至る。様々なステークホルダーとの調整やサービス開発に携わる。

守山 慎一郎(もりやま しんいちろう)

  • 所属:
    GXビジネス開発局 ディレクター
  • 社歴:
    2025年2月中途入社
    出版社でのファッション誌の広告企画・提案営業やweb広告・マーケティング、新規事業の立ち上げなどの多岐にわたる広告業界での経験を活かすべく加入。セールスに向けた企画から準備、提案、進行管理等、営業面を中心に業務を推進。

コロナ禍がもたらした、GX事業推進へのヒント

―はじめに、プロジェクトに参加したきっかけを教えてください。

水科

僕と進藤くんは、24年の4月からGX領域の事業化に着手しました。当時はGXではなく「事業化特命チーム」という名前でしたね。内容もGXではなく、CX(カーボントランスフォーメーション)。時代の変化もあり、GXに変化していきましたが。
事業領域は2つで、1つは広告主が排出する「CO₂量の可視化・削減・オフセット」。もう1つは、地球温暖化の時代に即した「サステナブルな広告メディアの開発」です。

進藤

具体的には電子ペーパーを活用した「SUSTAINABLE BOARD」や「ミラパレ」など、自社メディアの開発・販売をしています。電子ペーパーに目をつけたきっかけは車両広告です。2020年にコロナ禍で電車に乗る人が少なくなった結果、車両広告に出稿するお客様が減り、戻りも鈍かった。そうした現状を踏まえて、広告をデジタル化して車両が美術館になるような仕掛けをやってみるとか、興味を持ってもらえそうなコンテンツを色々考えていました。その過程で、電子ペーパーの存在を知りました。

水科

電子ペーパーの最大の魅力は、画像を表示している限りは電力を使わないこと。省エネだし、国際的に温室効果ガスの抑制が求められている時代にあって、メディアとしてとてもポテンシャルがあると感じました。それで「事業としていけそうじゃない?」と、進藤くんと話した記憶があります。

守山

僕は進藤さんとは10年来の知り合いで、入社前からオリコムでGX事業をやるという話も聞いていました。そのなかで「一緒にやらない?」と声をかけてもらってジョインしました。だからオリコムに入社して配属されたというより、このチームに引き抜かれてジョインしたという感覚ですね。

進藤

守山くんの活躍は色んなところで耳にしていたし、新しいことでもへこたれずにチャレンジしてくれるだろうなと思って。そういう意味で適材適所だなと。

守山

色々な会社で新規事業を立ち上げてきた経験を活かせそうだなと思ったので、「よし、やるか!」と気合が入りましたね。

水科

僕は、GXビジネス開発局の局長として全体を管理しています。進藤くんと守山くんはどちらもディレクターですが、進藤くんはプロダクト開発や新しいツールの立ち上げをする役目、守山くんは営業活動をする役目をそれぞれ担ってもらっています。とはいえ、まだ立ち上げたばかりですし、扱っているメディアは自分たちで、開発・販売・設置・管理を行っているので、かなり広範囲をカバーし合っていますね。

サステナブルに関わる人のやりがい創出や他の課題解決につなげていく

―GX事業を進める中で、試行錯誤していることはありますか?

水科

GX事業って“ゼロイチ”の部分が大きいんですよ。広告主にストレートに「CO₂を測りましょう」って言っても「何で?」と拒否されてしまう場合が多い。

進藤

GXを会社の成長とマーケティングに活かすという環境や情勢が社内にはなく、コストを使ってCO₂を測ってIR情報として掲載しても、「それが何の利益になるの?」と言われてしまう場合もあります。ちゃんとマーケティングまで昇華できている会社は、例えば商品やサービスにCO₂の削減量を表示するなどアピールできていますが、全社的に理解が深まっていかないとアウトプットまで辿り着かないという印象です。

水科

それにサステナブルに関わる人たちは、企業の中で光が当たりにくかったりするんですよね。現場の話を聞くと、SDGs担当者は必死にCO₂量の算定をしているのに、上司が「そんなに大変な仕事なの?」って無関心なこともある。やっていることが理解されないから、現場はどんどん疲弊してしまう。

守山

サステナビリティとかGXって「地球が大変な状況だからこうしましょう」みたいな大きな規模感の話から始まるから、それが自社のビジネスとつながる実感が持ちにくいのだと思います。それに専門家でも意見が分かれていますし、世界情勢によって変わってくることもたくさんあるので、一企業の一部門の一担当者で方針を決めるのが難しい部分もありますよね。

進藤

GXが企業ブランディングや採用マーケティングにつながるには、まだ壁があります。なので例えば、セミナーをやったり、プレスリリースを出したり、デジタル広告と掛け合わせて新しい商品を開発したりと、「サステナブルマーケティング」を知ってもらうためのマーケティングを進めていく必要があるなと感じています。

水科

GXと聞くと、慈善事業に近い印象を持たれがちですが、日本政府がGX化を強く支援しようとしていますし、今後市場が育っていく可能性は十分にある。これまでにないメディアのアプローチやビジネスを開拓するチャンスだと思います。

―プロジェクトを進める中で印象に残ったことはありますか?

進藤

パッと浮かんだのは、25年5月に西武鉄道の所沢駅に「SEIBU SUSTAINABLE BOARD」を設置したこと。電子ペーパーに可能性を感じて「こういうことができたらいいな」と進めていたことが形になった瞬間だったので、すごく嬉しかったですね。

水科

進藤くんとは一緒に現場に設営に行ったよね。終電後の夜中の2時半とかまで作業していて、僕は足が攣りました(笑)。でも、夜中に設置完了したときは嬉しかったな。

進藤

ちょっと青春を感じましたもん(笑)。僕は実家が練馬で、西武線にはすごくお世話になっていたから、じーんと来ちゃいました。

水科

故郷に錦を飾る、じゃないけれど、自分たちが考えたものが実物として目の前に出てくると感動するよね。

進藤

翌朝にお客さんが設置されたものを見にくる予定になっていたので、設営が完了した後、水科さんと日高屋にラーメンを食べに行って、そのまま朝まで待ってましたよね。それもすごい青春を感じたなぁ(笑)。

水科

苦労した甲斐あって、鉄道会社さんからの反応はすごく良かったです。ほかの鉄道会社からも西武鉄道さんにたくさん問い合わせがあったと聞きました。

進藤

特に鉄道会社さんのようにインフラを担っている事業者は、広告物を貼り変えるだけでなく、業務案内、観光案内、鉄道の沿線情報など、膨大な情報を日々発信するために人手が必要です。だから、人的資源の不足や人件費の高騰といった悩みを常に抱えている。その点、電子ペーパーは電力消費が少なく、週に1回程度の更新なら半年から1年ぐらいは充電せずに持ちます。これを安定的に運用できれば人的資源の問題の解消につながるというところで、期待を持ってくださっているとも感じますね。

お互いの力を信頼しているから、自由に動ける

―それぞれから見たチームメンバーの長所や強みを教えてください。

水科

進藤くん、守山くんの2人は、本当に日々試行錯誤しながらやってくれています。この前も守山くんから「社内の営業に、クライアントに対してもっとこういう伝え方をするようにお願いするのはどうか」と意見をもらいました。僕と進藤くんを足しても守山くんの営業力には叶わないから、すごくありがたい。

守山

嬉しいです(笑)。セールスの部分については割と任せてもらえているので、イニシアチブを発揮していけたらと思っています。僕から見る水科さんは、決断がとにかく早いです。「こうするのはどうですか?」っていう提案レベルの話でも、良いと思えば「それでいこう!」って即決して任せてくれます。おかげで良いと思ったことをどんどん提案してスピード感を持って動けています。

進藤

水科さんは、社内調整の部分を非常に力強くやってくださるので本当に助かっています。よく自分のアイデアを壁打ちしてもらうのですが、どうやって実現していくか具体化してくれますし、それを会社に対して上申してくれる。すごく安心感があります。

水科

お互いに、壁打ちはかなり前からやっていますね。進藤くんはアイデアマンなんです。相談すると、自分にはない視点からアイデアを出してくれて、すぐに打ち返してくれるから助かってます。

守山

自分のアイデアとその進め方にこだわる人もいるけど、進藤さんは全然そんな感じじゃない。「こんなこと思いついたけど、良さそうじゃない?あとは守山くんのしたいようにしていいよ」ってスタンス。それを受けて僕も「すごいですね、じゃあ、こういう風に進めていきます!」と裁量をもって動けるから、すごくやりやすいですね。

水科

僕たちは3人とも、会社のためにやっている、というよりか、自分たちのやりたいことをやっているという気持ちの方が強いかもしれません。もっと言えば、いい意味で「オリコムっぽくないチーム」だと思います。お互いに支え合うというよりかは、「あなたならできるよね」って3人が3人とも力を信頼して任せている感じです。

進藤

キャラが明確というか、「これはこの人に相談しよう」というそれぞれの強みがすごく分かりやすい。だから解決しないといけない問題が起きても「まあできるだろう」と、全員がポジティブに捉えて動けていると思います。

守山

僕は、自分がめちゃくちゃ忙しければチームとして健全な状態だと思うんですよ。進藤さんのアイデアの量と水科さんの決裁の早さを活かし続ければ、僕はめちゃくちゃ忙しい状態を維持できます。それを積み重ねれば、この先も、色々なプロダクトを形にしていけるんじゃないかと思っています。

このチームで、これからやっていきたいことを教えてください。

進藤

今進めている「ミラパレ」など、電子ペーパーのプロダクトは電力消費を抑えられるので、日本だけでなく、経済発展が目覚ましいアジア圏を中心にもっとニーズが出てくると思います。そのターニングポイントがきたときに、ちゃんとシェアを取れていることが大事。我々がやってることがブランディングになって、「GXといえばオリコムだよね」っていうポジションを築きたいです。

守山

オリコムがGXに取り組むのは、「百年企業」たる責任だと思います。折り込みチラシや電車の中づり広告をその黎明期から続けてきた広告会社がオリコムで、言うなればこれまでは「紙」という媒体を使って世の中に情報を送り出し、「紙」を刷ってもらって会社の礎を築いてきました。だからこそ次の100年を見据えたときに、例えば電子ペーパーのような次世代の媒体やマーケティング手法を確立していく責任がある。CO₂量の削減や省エネが求められる時代に、そこはオリコムが先陣を切ってやるべきだと思っています。

水科

GX事業は、大手広告代理店の方からも注目されていると感じます。オリコムとしても、広告代理店を取り巻く市場が日々変わっていく中で、メディアのプラットフォームを作る源流、開発段階からやっていかなければ淘汰されるという危機感がある。その点でGXは、我々が生き残るための戦略の一つでもあります。願わくは、こういった未来に投資するチームがもう5、6チームできたら、会社としてもっと強くなるだろうと思います。

―このチームを一言で言うと

水科

広告会社でGX領域を事業化するのはハードルが高いこと。その我儘に、会社が期待を寄せて活動させてもらえていることは、肝に銘じながらやっていきたいです。

進藤

今扱っているプロダクトや商品は、未来の社会に役立つし、会社にとっても資産になる。自分たちにとっても、未来に向かっていい経験ができているなと思います。

守山

交通広告が強い会社でありながら、全員がデジタル広告というバックボーンを持って新規事業を立ち上げている。オリコムの中では奇抜で、個性的な集団だと思います。

関連サイト