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2025.09.05

【2025年度版】ジェンダー表現が炎上につながりやすい5つの観点とは(前編)

企業が情報発信をする上で、配慮すべき点は多岐にわたります。ジェンダー表現は近年特に重要視されつつある要素の1つといえるでしょう。

前編では、ジェンダー表現が炎上につながる理由や、炎上につながりやすい主な観点について解説しています。後編では、2024年から2025年にかけて実際に起きた炎上の具体的な事例とともに、生活者の声から考える炎上回避に役立つ視点を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

目次

ジェンダー表現が「炎上」の発端となる理由

はじめに、ジェンダーとは生物学的な性別ではなく、社会や文化によって形成されてきた性別のことを指します。そして、企業が情報発信を行う際、ジェンダーに関する表現は差別的表現にあたるとして「炎上」の発端となりがちです。その理由として、マイノリティとマジョリティの認識に大きな差があり、この溝が埋まっていない点が挙げられます。

たとえば、マイノリティの方々は特定の表現に対して「自分たちが強いられた不利益やそれにまつわる経験を思い起こさせる表現」として捉える場合があります。一方、広告を作成したマジョリティ側は「些細なことで炎上した」「意図していない解釈がなされて物議を醸した」といった捉え方をしているケースが少なくありません。ある一部分を切り取ればポジティブに感じられるメッセージであっても、どのような背景や前提にもとづいているかによって解釈に大きな差を生むことを踏まえて表現を考える必要があります。

【2025年度版】ジェンダー表現が炎上につながりやすい5つの観点

では、具体的にどういったパターンの表現が炎上につながりやすいのでしょうか。近年の傾向を踏まえて、ジェンダー表現が炎上につながるおそれのある5つの観点を見ていきましょう。

1. 寄り添い、応援をするつもりが性別役割分担意識の強化につながる表現

ターゲットに寄り添い、応援するつもりで制作されたメッセージが、かえって性別による役割の強化につながってしまうことは多分にあり得ます。たとえば、有職の有無にかかわらず、男性に比べて女性は家事を担う時間が多いという実態を踏まえて、忙しい女性を応援する意図で発信したメッセージでも表現によっては「家事はあくまで女性がするものであり、男性は外で仕事に励むもの」といった性別役割分担意識にもとづいていると受け取られる可能性があります。現状に寄り添えばよいという発想にとどまらず、その寄り添いが望まない現状を肯定してしまっていないかという視点を持つことが重要です。

2. 女性/男性蔑視を感じさせる表現

性別に基づいて能力を過小評価しているように映りかねない表現や、専ら外見によって判断していると受け取られかねない表現は、炎上につながりやすい傾向があります。昨今は男性の外見や言動を揶揄するような表現が炎上に発展するケースも決してめずらしくありません。また、たとえ褒め言葉であっても、その内容が性別に基づく場合は注意が必要です。「女性なのに力持ち」「男性なのに手先が器用」などの評価は、一見ポジティブに聞こえても、年齢や外見を基準に人を判断していると受け取られる可能性があります。褒めているつもりの言葉が、無意識の偏見を露呈する結果になっていないかに目を配る必要があります。

3. 性的な要素を強調した/連想させる表現

性的な要素を強調したり、連想させる可能性がある表現も問題視されがちです。体の一部を強調した描写などは「性的対象として見られている」と受け取られかねない表現の典型例といえます。しかし、ここで特に注意すべきは、肌の露出度の高低そのものが「性的表現かどうか」を決める基準ではないという点です。実際、胸の谷間や露出のある服装が必ずしも性的表現になるわけではありません。重要なのは、その描写や構図、文脈が「性的な見方」を促すように作用していないかどうかです。

4. 外見至上主義を煽りかねない表現

外見至上主義を煽りかねない表現も、炎上につながりやすい傾向があります。理想的な容姿を固定化した表現や、そこから逸脱していることへの不安を煽ることになりかねない表現は、外見こそがもっとも重要と伝えるメッセージとして受け取られる可能性があるからです。「美男/美女」といった理想像が、そもそも固定観念にもとづいているのではないか、と疑ってみる必要があるでしょう。

5.セクシャリティへの配慮に欠けた表現

性的指向や性自認に関する話題は当事者にとっては非常にプライベートでセンシティブな領域です。そのため、当事者の苦しみや複雑な状況を理解せず、第三者が安易に踏み込んだような表現に受けとられると、炎上につながりやすい傾向があります。プライベートな話題ほど、慎重に表現を選ぶ必要があるでしょう。

後編では、2024年から2025年にかけて発生した具体的な炎上の事例を紹介していきます。それぞれの事例について、生活者の声から考える炎上の回避に役立つ視点も紹介していますので、どのような観点で広告等をチェックするべきか検討する際に役立ててください。


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