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2025.08.04

ジェンダーバイアスとは?生じる原因や具体例、解決策について解説

青色とピンク色のTシャツがかかっているのを見かけた際、青色は「男性向け」、ピンク色は「女性向け」と無意識のうちに判断していませんか。実は、こうした判断はジェンダーバイアスにもとづいています。

この記事では、ジェンダーバイアスの身近な例や、思い込み・偏見が生じる主な原因についてわかりやすく解説しています。広告制作におけるジェンダー表現の重要性や、ジェンダーバイアスをチェックする方法にも触れていますので、ぜひ参考にしてください。

目次

ジェンダーバイアスとは

はじめに、そもそも「ジェンダー」とは何か、ジェンダーバイアスとは何を表しているのかを整理しておきましょう。

ジェンダーと「性(セックス)」の違い

ジェンダーとは、社会的・文化的な性差のことを指します。いわゆる「性」や「性別」が生物学的な見地に立った区別であるのに対して、ジェンダーは男女の役割や行動に関する概念です。たとえば、「男性」「女性」といった区別が「性」にもとづいているのに対して、「男らしさ」や「女らしさ」といった言い回しには性差にもとづく役割やイメージといった意味合いが込められています。これが性とジェンダーの大きな違いです。

ジェンダーバイアス:性差に関する偏見

ジェンダーバイアスとは、男女の役割やあり方を固定化して捉えることによって生じる「思い込み」や「偏見」のことです。先ほど挙げた例でいえば、「〇〇するのは男らしくない」「〇〇しているほうが女らしい」といった捉え方は、まさしくジェンダーバイアスに根差した感覚の典型例といえます。ジェンダーバイアスの中には長らく慣習的に続いてきたものも含まれているため、私たちは知らず知らずのうちにジェンダーバイアスに囚われていることも少なくありません。

ジェンダーバイアスの身近な例

ジェンダーバイアスは、私たちの日常生活に数多く潜んでいます。4つのパターン別に、身近なジェンダーバイアスの例を見ていきましょう。

色や形状に表れるジェンダーバイアス

【例】

  • 青色や紺色は男性的、ピンクや赤色は女性的
  • 角張った形は男性的、丸みを帯びた形は女性的

たとえば、「地が青色で星形の模様があしらわれた手提げ袋」と、「地がピンク色で水玉模様があしらわれた手提げ袋」が販売されていたとします。直感的に「青色は男の子用、ピンク色は女の子用」と判断していないでしょうか。これは、色や形状にジェンダーバイアスが表れている好例といえます。

言葉に表れるジェンダーバイアス

【例】

  • 女性管理職
  • 美容男子

私たちが日常生活の中でふれる言葉や、口にする表現の中にもジェンダーバイアスが潜んでいます。女性管理職の例では、日本において管理職は依然として男性が多い実態が知られていることから、管理職として活躍している女性であることを強調する意味で、あえて「女性管理職」と表現しているパターンもあり得るでしょう。しかしながら、言葉の受け止め方は人によって異なります。あたかも男性の管理職がスタンダードであるかのような印象を与える可能性も否定できません。

役割に表れるジェンダーバイアス

【例】

  • 家事や育児は主に女性の仕事
  • 家計を支えるのは主に男性の役割

上記のような性差による役割の固定化は、ジェンダーバイアスの典型例です。現在は、夫婦共働きの世帯がごく一般的であり、夫婦における家事や育児の役割分担がいっそう求められています。かつての古い固定観念に囚われてしまうと、実態に合わない性役割の固定化を助長することにもなりかねません。

通説に表れるジェンダーバイアス

【例】

  • 女性脳と男性脳
  • 男性は論理的、女性は感情的

性差によって脳のつくりや働きに違いが見られるといった通説の多くは、科学的根拠が希薄なまま流布されています。男女の能力差や思考パターンに対する固定観点を強化しかねない面があるとして、近年はこうした通説もジェンダーバイアスの一種と見なされつつあるのが実情です。実際には能力や思考パターンは人それぞれであり、性差によって一定の傾向や差異が確認されているわけではありません。

ジェンダーバイアスが生じる主な原因

では、なぜこうしたジェンダーバイアスが生じてしまうのでしょうか。ここには「長年にわたる刷り込み」と「マジョリティ中心の社会構造」という2つの要因があります。

長年にわたる刷り込み

私たちの多くは家庭・学校での教育や、メディアなどを通じて長年にわたり接してきた情報から少なからず影響を受けています。また、地域社会における慣習や伝統なども、知識や経験として蓄積されてきたことでしょう。こうした長年にわたる刷り込みが、社会的な性差の認識として形成されているケースは少なくありません。長い期間をかけて積み重なってきたために、それらの前提や常識を疑うのは決して容易ではないのが実情です。

マジョリティ中心の社会構造

ジェンダーバイアスが生じるもう1つの要因はマジョリティにもとづく社会構造にあります。ここでのマジョリティは単に数の大小だけではなく、社会的な力の得やすさを含んでいることに注意が必要です。マジョリティにもとづく社会構造のいびつさは、しばしば「透明な自動ドア」を比喩されますが、これは、マジョリティにとっては当たり前すぎて意識することはない制度や仕組み、考え方が、マイノリティにとっては障壁となり得る、意識されにくい特権や有利な状況を指し示す言葉です。ジェンダーの文脈においては一般的に男性がマジョリティ、女性がマイノリティとされますが、ここで重要なのは、自分自身や他者がそのような社会構造の中にいるという事実を自覚することです。

企業発信のあり方を考える上でもジェンダー表現は重要な課題

ここまで見てきたとおり、ジェンダーバイアスは誰にでも起こり得るものです。しかし、多くの人の目に触れる企業発信において、発信する情報が無意識のうちにジェンダーバイアスに囚われた表現になっていると、ブランドや企業に対する信頼を損なう結果を招きかねません。「気づいていなかった」「見落としていた」では済まされないのが実情です。

しかし、発信する側が自らのバイアスに気づくのは容易ではありません。発信者としての思いや背景情報の根底に、すでにバイアスが潜んでいる可能性も否定できないからです。そのため、ジェンダーやDEIに配慮した企業発信を実現するためには、できるだけ客観性が担保されたチェック方法を取り入れることが重要です。

ジェンダーバイアスをチェックする方法とは

ここからは、企業発信をしていく上で役に立つ、ジェンダーバイアスのチェック方法を紹介します。

自身の特性に気づけるチェックシートの活用

内閣府男女共同参画局は、「無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)チェックシート.pdf」を公開しています。合計23の設問について、「Yes」と思うものにチェックを入れていくことで、職場や家庭、教育、地域などにおけるジェンダーバイアスを複数の視点から検証するという趣旨のチェックシートです。企業発信においては、関係者が事前にこのチェックシートでセルフチェックしておくことによって、現状のジェンダー意識や無意識の思い込みを認識するための手がかりを得られるでしょう。

また、民間のWebサービスやAIサービスの中にも、チェックシートにもとづくユーザーのバイアスチェックに役立つものもあります。こうしたツールを活用することで、自身やプロジェクトメンバーが無意識に抱えていたジェンダーバイアスに気づくきっかけとなる可能性があるでしょう。

表現に潜むバイアスの有無に気づける専用チェックツールの活用

自身の特性に気づくことに加えて、企業発信の内容にバイアスがないかを見定めることも重要です。定量/定性データにもとづく客観的な分析が可能なツールを活用することで、より質の高い制作物の検証・評価が可能になります。

当社が提供する「DEI Quick Checker™」は、「嘘がつけない脳活動」と「定量調査データ」を組み合わせたAIを活用しています。相当数の広告評価を学習済みのため、一般的なWeb定量クリエイティブ調査に比べて高い回答精度を実現している点が特長です。また、好き・嫌い/良い・悪いといった表層の奥にある人間の感情と表現評価の因果関係を研究し、指標化を実現。「DEIスコア」と呼ばれる指標を元に、アナリストが広告企画の意図を理解した上で改善の方向性を提言します。より客観性の高いチェック方法を確立したい事業者様や、広告の具体的な改善策まで含めて提案を受けたい事業者様は、DEI Quick Checker™を活用してみてはいかがでしょうか。

ジェンダーバイアス対策には第三者の存在が必要

ジェンダーバイアスは、私たちが長年にわたって接してきた情報や慣習、そして社会構造によってもたらされている側面があります。よって、個々が意識的に避けられるケースばかりでもないというのが実情です。企業発信においても、発信する側が気づかないところでジェンダーバイアスに囚われていないか、第三者の視点で検証する仕組みを確立しておく必要があります。今回紹介したチェック方法を参考に、DEIやジェンダーに十分に配慮された企業発信を実現していきましょう。


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