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  • クライアントへの日頃の営業活動から、本案件の自主提案を主導したチームのリーダー。
  • PRから事務局運営まで、冷静な視点でプロモーションを担うチームの「何でも屋」。
  • グラフィック全般を手がけるデザイナーにして、本企画の核となる施策の発案者。
  • コピーライター兼プランナー。本企画ではInstagramアカウントの運営を主に担当。
戸来:2023年の夏休み企画として、オロナミンCドリンク「キミの元気は、わたしの元気。」キャンペーンを担当させていただきました。そもそもは炭酸飲料の一番のシーズンである夏に向けて、オリコムから何か自主提案できないかと、チームの皆さんに相談したところから本企画は始まりました。

増子:大塚製薬さまのオロナミンCには、元気を届ける商品というブレない価値観があります。ならば「今、元気を必要としているのは、どんな人たちなのか」ということを起点にアイデアを出し合いました。

降旗:本来、商品の売り上げにどうつなげるかは広告制作の重要なポイントです。しかし本商品は、既に圧倒的な認知度と人気を誇るブランド。話題性やインパクトではなく、広告を通じて社会や人々にどんな貢献ができるのか。普段とは違った角度から企画を考える必要がありました。

戸来:社会や生活者の価値観、生活行動の変化で注目したのは、元気に外で遊ぶ子どもが減っているというデータです。特に親の立場で考えると、子どもと一緒に外で遊べる期間は限られています。成長と共に、その機会は失われていってしまう。コロナ禍が一段落したタイミングということもあり、貴重な時間を親子で共有できる外遊びのきっかけを作れないかと考えました。

戸田:そこで提案したのが「#まちがおさがし」というアイデア。街の中にある「顔のように見える景色」を写真に撮ってInstagramに投稿してもらう企画です。子どもの頃の実体験を振り返る中で思いついたのですが、今ならスマホでその場面を切り取ってSNSでシェアすることができる。子どもならではの視点や感性を、親御さんも一緒になって楽しめるんじゃないかと思ったんです。

増子:自分にも子どもがいるので実際に「まちがおさがし」をしてみて、その体験談を含めてプレゼンを行いました。クライアントの担当者さんにも中学に入られたばかりのお子さまがいらっしゃったこともあり、すごく共感して案を受け入れてくださいました。

竹原:一方で本当にうまくいくのか、懸念もありました。問い合わせ窓口も務めるプロモーション担当としては、企画のネガティブな面も積極的に掘り起こしていかなければなりません。場所を探して写真に撮り、ハッシュタグを付けて投稿するのは、実はハードルの高い作業。さらには炎上やクレーム、肖像権の問題といったリスクも極限まで減らさなければならない。チームの盛り上がりに水を差す役割でした(笑)。

戸来:提案に時間をかけた分、実制作は1ヶ月程度の急ピッチで進めなければならなかったんです。結果として皆さんには、かなりの無茶振りをすることに…。そんな中、私たちの視野が狭くなると竹原さんが客観的で的確な指摘をくださったので、冷静に進行することができました。

戸田:夏休みに間に合わせるため、実は正式な決定が出る前から制作面では動き始めていたんです(笑)。大塚製薬さまとも密に連携を取り合いながら、リリースの直前まで細かい修正を何度も繰り返し、一丸となって納得のいくものを作ることができました。

竹原:リリースに当たってはPR会社さんとも協力し、インフルエンサーの方にお手本を示してもらうことで投稿を盛り上げました。分かりやすい注意事項を事前に提示できていたのもあってか、蓋を開けてみると心配したようなネガティブな反応は見当たりませんでした。

降旗:アカウント運営者としても、投稿を楽しんでくれている人たちの反応を毎日リアルタイムで目の当たりにすることができたので、すごくやりがいがありました。普段の案件だと直接的な反応をすぐに見ることはできないので、広告と受け手との間に距離を感じることも多いんです。今回は広告の持つ力を身をもって実感することができました。

増子:本当にユニークな投稿が多くて、見る側としても楽しかったです。投稿があって初めて完成する内容だったので、チームとクライアント、実際に参加してくれた方々、みんなで作り上げた一体感のある企画になったと思います。
戸来:ウェブ広告の反応も非常に良く、やはり共感してくれる親御さんが多かったんだと思います。親子の触れ合いや子どもの健やかな成長に貢献できたことは、大塚製薬さまにも高く評価していただけました。数値では測り切ることのできない「人の心を動かす」ことについて、ブランド価値の観点から深く考えて意見をくださったので、効率や数字だけではない、広告のあり方について改めて考えさせられる仕事になったと思っています。

増子:そうした企業の担当者さんと最初から最後まで一緒に企画を作り上げられたのは、我々にとっても貴重な経験になりました。広告会社としても学ぶところが本当に多かったです。

竹原:やっぱりチームで制作する以上、自分だけの価値観ではいい仕事はできないということを学びました。役目とは言えマイナス面ばかりを気にしていたら企画が成り立たなくなってしまう。最後は人を信じるのも仕事なんだと感じました。

戸田:自分の場合、未熟ということもあり、どうしても広告らしく見せようとしてしまったり、広告としての狙いを優先してしまったりしがちなんですが、それよりもまず、社会に生きている人々の考えや心に迫っていくことの大切さに気づかされました。広告の根本的な意義を再認識できたのは、企画を通して成長できた点かなと思います。

降旗:私も社会に貢献できるような広告が作りたいと思いながら、日々の業務の中では自分の視点で物事を考えがちになっていたと反省しました。世の中の人たちが普段どんなことを考えているのか、もっと敏感に汲み取って広告作りに反映していけたらと思っています。

増子:これから業界に入ってくる就活生も、広告が好きで詳しい人が多いかと思います。ただ、広告についての勉強ももちろん重要ですが、それ以上に普段の生活や経験、人との関わりの中から見えてくる気持ちや感情を大事にしてほしいなと思います。