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  • プロジェクトのリーダー的存在。普段の広告制作とは異なる、チームの取り組みを牽引する。
  • プロジェクトマネージャー。事業としての可能性を探りながら、チーム全体を支える。
  • 先輩である豊田に声を掛けられ参加。日頃の営業経験を生かし、案件獲得にも奮闘。
  • 普段は営業部門に所属。チームの定例会議では、ファシリテーターとして司会役を務める。
  • 後輩である豊田の誘いでプロジェクトに参加。本人いわく「アイスブレイク要員」。
  • 入社2年目にして自らプロジェクトへの参加を志願。チーム唯一のデータアナリスト。
豊田:デジタルが苦手な人と得意な人。世の中のデジタル化が加速する一方で、デジタルデバイドと呼ばれる情報格差の広がりが深刻化しつつあります。私たち「デジタルわかる化研究所」は、誰もがデジタル化の波から取り残されることのない社会を目指して設立された、有志によるプロジェクトです。

松浦:デジタルを用いたコミュニケーションが当たり前になった今、こうした格差の解消に取り組むことは、広告というコミュニケーション領域に携わる企業として大きな意義があると考えています。広告会社として何ができるのか、社会に役立つ新たな事業を模索しています。

豊田:立ち上げの発端となったのはメンバーが見かけた、ある携帯ショップでのスマホ教室の様子でした。高齢者の方々が参加されていたのですが、冬にもかかわらずお店の外の通路で講習会が開かれていたんです。多くの人が教えを必要としているのに、適切な環境が用意されていない。デジタルが幸せに結びついていない状況に、危機感を抱いたのがきっかけになっています。

飯野:私も学生時代、QR決済が導入され始めたばかりの頃に、お客さんもレジの人も使い方が分からず、それまでよりも時間がかかっているのを目の当たりにしたことがあります。苦手意識を持つと、デジタル技術が進歩するたび逆に不便になったと感じてしまう人も多いんじゃないかと思うんです。

吉本:情報格差は人々が自信を失う一因にもなっていると感じます。このチームの案件で、競輪チケットの購入アプリ利用促進のため、競輪場の来場者に向けてインストールのお手伝いをさせていただいたことがあります。50代から60代の男性が中心だったのですが、せっかく興味を示してくれても、いざ説明を始めると途中で諦めてしまう方がすごく多かったんです。申し訳なさそうに謝る人も多くて、格差の実態を痛切に感じました。

豊田:プロジェクトでは、オウンドメディアやSNSの運用にも取り組んでいます。デジタル庁をはじめとした関係各所への取材や調査を行い記事を作成、デジタルに関する「分からない」を「分かる」に変えるための情報発信を行なっています。

柴:特に反響のあった記事としては「デジタル幸福度」の調査が挙げられます。社会のデジタル化が人々の生活や人間関係にどう影響しているのかを詳しく調べ、地域別のランキングを作成しました。ちなみにこの調査は、各都道府県から一斉に人が集まるという理由で、夏の高校野球に合わせて甲子園球場で行いました。ウェブ調査で簡単に済ますこともできますが、それだとネットを使えない人たちの生の声を聴くことはできません。ということでメンバーを3チームに分け、民泊に泊まり込みで合計1週間ほど。来場者1,000名以上を対象に、対面で直接アンケートを集計しました。
鈴木:正直、本当に全員で甲子園まで行くのか、直前まで半信半疑でした(笑)。労力をかけた甲斐もあり、新たな知見を得られたのはもちろん、各種ニュースサイトにも転載されるなど、大きな反響がありました。

吉本:他にもスマホの操作方法をアニメーションで視覚的に伝えるLINEスタンプを販売するなど、コンテンツ制作も行なっています。心がけているのは、受け手の問題意識を高め、格差解消のためのヒントや気づきを与えられるようにすること。デジタル化に悩む当事者たちは、そもそもウェブ上の情報をチェックすることができません。格差をなくすには本人の努力以上に企業や自治体、周囲の人々の理解やサポートが重要なんです。

飯野:私はデジタルが当たり前の世代なので、不得意な人の気持ちが分からない部分もありました。プロジェクトを通じて、私自身も理解が深まってきたのを感じています。
松浦:プロジェクトマネージャーとしては社会貢献だけでなく、マネタイズ化できる事業に発展させるという目標があります。今は通常の業務ではできない体験を通じて、まだ見ぬビジネスの可能性を探っているところです。それこそ社員が民泊で何泊もするなんて普通の仕事じゃできないこと。普段なら同じ営業部にいても、各自がそれぞれのクライアントを抱えているので一緒に仕事をする機会ってほとんどないんです。

鈴木:いつもと違う仲間と新しい事に挑戦できるのは、やっぱり新鮮です。実は業務が忙しくて参加できない時もあるのですが、するべきことも考え方もまったく違うので、いつも刺激をもらっています。

豊田:普通の広告の仕事とは別物になってきています。自分も普段はお客さんの条件を聞いて、目的や予算に合ったメディアプランを組むのが仕事。それは性にも合っているんですが、こちらでは0から1を作らなきゃいけない。自らが得意とする領域の外へ踏み出さないと、発展していかないと思うんです。

柴:何か一つ、プロジェクトならではの代表作と呼べるアプリやサービスを形にしたいですね。ただ、苦手意識のある人に訴求できる物となると本当に難しい。今はその大きな壁に挑んでいるところです。

松浦:時間はかかりますが、こうした自発的な活動が盛り上がれば、会社全体のプレゼンスも上がっていくし、思わぬビジネスチャンスが見えてくるはず。いわば自社に対する一種のブランディングとも言えます。これに触発されて、社内に新しいプロジェクトがどんどん立ち上がっていったら面白いなと思っています。

吉本:個人的な話ですが少し前に、果たして自分がどれだけの仕事を成し遂げてこられたのか考えさせられる出来事があって。日々の業務をこなすので精一杯になっているだけなんじゃないかと思ったんです。このプロジェクトは興味があって入った自主的な取り組み。大変ではありますが、いつかは人に胸を張って言える大きな事業にできたらと思っています。

豊田:そのためにも、できることは何でもやってみようと思っています。自分が誘った仲間も多いので、みんながめげずに頑張れるよう身をもって示していきたいです。