


松田:軸となるコンセプトは「感謝の見える化」です。献血をしたことのない人からすると、どのように採血されるのかも分からなければ、その血液が誰に届けられるのかもよく分からないと思います。しかし現実には献血によって命を救われる方々が大勢いて、皆さん心から献血協力者に感謝をしている。その事実を見える化することで、献血の意義を実感してもらうのが企画意図です。一体、広告の力で何ができるのか。悩んだ部分もありましたが、献血の本質的な価値を原点に立ち返って伝えようと考えました。

岡谷:WEB動画では、以前から献血についてご自身で発信されていた、元卓球選手の水谷隼さんを起用しました。白血病によって輸血を経験されたサッカー選手の早川史哉選手や女優の友寄蓮さんとの対談を通じて、献血に命を支えられた方々の実体験を紹介しています。
千田:全国各地で開催される「献血セミナー」のサポートも重要な施策の一つです。輸血経験者でフリーアナウンサーの笠井信輔さんを学校の教室などにお招きして、生の声を伺うのですが、献血に対する感謝が込められた体験談には、私たちも強く胸を打たれます。CMや動画に比べると対象は少人数かもしれませんが、集まってくれた人にこの輸血の体験談や献血への感謝をなるべくそのまま届けられたら、ダイレクトに献血協力につなげることができる。そのためには自分自身も心を傾けて、邪魔になるような演出はせず、できる限りまっすぐ気持ちを伝えられる現場にしようと心がけています。


岡谷:WEBサイトの制作についても、同じことが言えると思います。サイトはすべての施策の受け皿になるので、きちんと情報が載っているのは当然ですが、メンバー一人ひとりの持っている熱量まで含めて表現できれば、それがより多くの人に広がっていくはずです。特に今回は若年層に向けた案件でもあるので、スマートフォンで閲覧されることを強く意識しました。パソコンと比べて画面が小さいので、文章は分かりやすくコンパクトにまとめつつ、読み手を飽きさせず多くのコンテンツに触れてもらえるよう工夫しています。

千田:若年層に向けてという部分では、『進撃の巨人』や『すみっコぐらし』といった漫画作品とのコラボも展開しました。実は若年層だけでなく、幼少期の子どもたちにもメッセージを届けようというテーマもあるんです。
吉本:今はまだ参加できる年齢じゃなくても、いつか成長して献血に協力してもらえたら…。目の前にある課題の解決だけではなく、未来にまでつながるような施策にしたいという思いがありました。
松田:今回の案件では、自分の思い描いていたコンセプトを、チームのみんなが想像以上に広げてくれたのを実感しています。仕事を進める上では理想となる設計図を作っても、思ったとおりにいかないことが、どうしてもあります。けれど今回はチームのおかげで、自分なりに理想とする仕事を実現できたような気がして、すごく達成感を感じています。


吉本:このプロジェクトが他の広告案件と少し違うのは、人の命に繋がる仕事だということです。極論ですが、もし失敗してしまったら、献血者が減少し、救えるはずの命が救えなくなる可能性もある。やりがいと同時に、大きな責任も感じています。だからこそ営業の立場としては、クライアントやチームの意見に対しても、常に「献血者を増やす」という目的に立ち返ってコミュニケーションを取るよう心がけています。結果としてメンバーには、急な変更や無茶な要望をお願いしなければならないこともあるのですが、みんなこちらの意図を汲んで受け入れてくれる。すごく協力的なチームだと思っています。私の人望というよりは、松田さんのオリエンが素晴らしかったおかげかもしれませんが(笑)。

岡谷:広告の仕事は必ずチームで働くので、それもこの仕事の醍醐味という気がします。1人ではできない仕事だからこそ、他の人の気持ちを考えなければなりません。その結果、自分1人では成し遂げられないような、大きなことが実現できる。そこに魅力や面白さがあるということは、これから就職活動に臨む学生の皆さんにも伝えたいですね。
千田:私自身もこの仕事を通じて、人に優しくなれた気がしています。献血セミナーの参加者の中には、感動して泣いてしまう方もいらっしゃるんです。熱意を持って取り組んだ結果、人の心が動くのを実感できるのは、やりがいにもなっていますし、自分自身も感動をもらっています。献血は無償で血液を提供するボランティア活動なので、何か見返りがあるわけではありません。けれども人を思いやる気持ちには、感謝の気持ちが必ず返ってくる。それをこのプロジェクトから教えてもらいました。それと就活生に伝えたいのは、やっぱり「献血のご協力をお願いします」ということでしょうか。
松田:そうですね! 献血予約のためのアプリ「ラブラッドアプリ」もあるので、ぜひダウンロードしてみてください。もしオリコムの採用試験を受ける機会があれば、面接で献血の体験についても聞かせていただけたら嬉しいです。
