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春は別れの季節というが、この景気の中では、思いはひとしおである。ある送別会の帰り道、穂村弘のあの短歌がふと頭をよぎった。
サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい
「何コレ?」と言われるかもしれないが、どうしようもないやり場のない思い、ことばにならない思いをぶつける先は、象のうんこぐらいしかない。現在の弱肉強食の世界を、サバンナは象徴している。
こんな世の中でも、自暴自棄になってはいけない。近ごろでは業界内にも、「モノも情報も溢れて広告が効かなくなってきた」「情報の発信や取捨の主導権は消費者に移った」などと軽々しくいう輩が多すぎる。
小林秀雄は言っている。“人は、説得しようなどと思わぬ人にしか、説得されないものだ”。同じように、米国ビジネスの格言には、“私を信じてくださいと言う奴を絶対に信じてはならない”というのがある。 ※Never trust anyone who says "you can trust me."
当社が使っているクリエイティブブリーフには、隅に小さくこう書かれている。“世の中には、人々に愛されない広告や信用してもらえない広告、気に留められない広告があります。この広告がそうならないために”
この文章は、テキサス州ダラスの提携先であり、米国のアカウントプランニングの草分けとして知られる『ザ・リチャーズ・グループ』のクリエイティブブリーフに1980年ごろからある言葉を訳している。
People don't like ads. People don't trust ads. People don't remember ads.
What will make this one any different?
ようするに古今東西、広告は容易に届かないものだ。説得しよう、信じてもらおうとすればするほど、うさんくさくなる。だからこそ、クリエイティブというプロフェッショナルがいるのだ。現在のような複雑なメディア環境では、届かせるための仕組みづくりであるコミュニケーションデザインが求められる。
広告には、殺伐としたROIの一語では測れない力がある。それは、世間の空気をつくる力であったり、冷めた人の心をあたためる力であったりする。こんな時代だけに、そうした広告の可能性を見きわめて再発見し、誇りをもっていきたい。
春は出会いの季節でもある。すべての人に、新たな素晴らしい出会いが訪れることを祈りたい。
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